Miwaの再就職レポート3: IT業界からWeb業界へ

転妻でもSE

まず最初に、IT業界について説明します。
IT業界は、「分野別」「言語別」で分類されます。

分野別

  • ユーザー系(銀行の情報システム子会社など。大企業が多い。)
  • メーカー系(富士通・NTTデータなど。大企業が多い。)
  • 独立系(富士ソフトなど。大企業から零細企業まである。)

言語別

  • 汎用機系(COBOL・PL/Iなど。大量のデータを扱う大型ホストマシンを持つ、金融系・流通系に多い。1990年代までの主流。)
  • C/S系(VB・Cなど。社内システムに多い。2000年代までの主流。)
  • Web系(Java・PHPなど。Yahoo!・楽天・Amazon・ネットバンキングなど。これからの主流。)

さて、私は「ユーザー系×汎用機系」からスタートしました。【1社目・正社員】
転勤1回目は地方だったので「汎用機系」の仕事が少なく、パソコンスクールでインストラクターをやりました。【2社目・アルバイト】

転勤2回目は東京だったので「汎用機系」の仕事が見つかりましたが【3社目・派遣】、今後はC/S系をやっておかないとまずい!と思い、「中小独立系×C/S系」の会社に正社員として転職しました。【4社目・正社員】

IT業界では「特定派遣」ということがよくあり、4社目から「大手独立系×C/S系」の会社に派遣。 その会社の顧客が「C/S系のシステムを、Web系のシステムに変更したい」ということで、運良くWeb系のシステム開発も経験できました。

しばらくして、4社目が倒産。IT業界・Web業界ではよくある話です。隣の席の協力会社さんの会社に転職させてもらいました。【5社目・契約社員】


1年半後、夫の海外赴任が決定し、転勤3回目は3年間の海外生活。
海外では労働許可証が無いと働けないため、駐在妻のほとんどは、語学の勉強や習い事に力を入れます。
帰国してから教室を開く駐在妻もいました。

海外から戻り、転勤4回目は大阪。
海外で街歩きや旅行の楽しさに目覚めたので、1年間は大阪・京都観光の毎日。
そろそろ働こうと思い、学校ICTサポーターに採用された1週間後、東京転勤辞令が出ました。


SE→事務職、のつもりが、またSE

転勤5回目。5社目を辞めてから5年間のブランクができてしまいました。

流れの速いIT業界ではすっかりWebシステムが主流となり、Web制作会社が多数登場し、Web業界なるものが確立していました。

また、同じWeb系でも、私が経験したASP.NETは下火となり、JavaやPHPが主流となっていました。(NEC・東芝等が開発したHD DVDが、ソニー・パナソニック・シャープ等が開発したブルーレイに負けてしまったようなものです。)

最新の技術に追いついていけなければ、使いものにならないのがSE。

さすがに今回はSEとして復帰するのは無理だろうと思い、偶然、日曜の折り込み求人広告で見つけた秘書の仕事に応募しました。 偶然、仕事の中でC/S系のシステムを使うということで、社内SEとして採用されました。【6社目・契約社員】

社内SEの仕事は、システム開発の現場に比べると事務職寄りで、次第に物足りなさを感じてきました。

そんな時、偶然、職場のHPを作成することになりました。 1999年から個人でHPを作っているので、HPを作る事自体は難しくなかったけれど、もっと専門的に作りたい!と思い、去年8月からパソコンスクールに通い始めました。

ちょうど同じ頃、転妻コンサルタントSuaiの活動を開始。「転勤族ねっと」「転妻キャリアカフェ」のHPを作成しました。

また、Suaiでメンバーの相談に乗るうちにキャリアカウンセリングに興味を持ち、3月からCDA(キャリア・ディプロップメント・アドバイザー)の勉強を始めました。


そして、7回目の転職活動

6月に、7回目の転職活動を開始。今回は、久しぶりに派遣で働く事にしました。

当初は、キャリアカウンセラーになるために、まずは人事で採用・教育の仕事がしたいと思っていました。
「はたらこねっと」「en」「リクナビ」「マイナビ」に登録して、どのような派遣会社があるのか・どのような仕事があるのかをチェックし、 気になった派遣会社3社に登録しました。

しかし、東日本大震災の影響もあり、どれも「採用経験がある人」のみの募集でした。
CDAの先生に「せっかく専門職の経験があるのだから、そちらの方がいい」とアドバイスを受けて、技術職専門の派遣会社へ登録しました。


登録した後で気がついたのですが、実は、登録条件がありました。
SEはブランク2年まで、Web制作はブランク2年まで or 未経験の場合はパソコンスクール卒業1年まで。

さらに、社内SE時代の経験は、システム開発の経験としてはカウントされない事が判明。
つまり、SEとしては7年のブランクがあることになります。
パソコンスクールに通っていて良かった!

IT業界での経験が生かせないとなると、パソコンスクールで学んだWeb制作の仕事を選ぶしかないのですが、Web制作の仕事も「1年以上の実務経験がある人」のみの募集ばかり。

だから、紹介される仕事は、社内SEの時もやっていたExcelVBAの仕事。VBAは、昔はプログラマーの仕事だったのに、今は事務職の仕事なんですね。派遣の分類だと「OA事務」なんです。

本来ならパソコンスクールでも求人票を集めていて、パソコンスクールの卒業生ならOKという仕事もあったのですが、震災の影響で求人票も全くない。 (パソコンスクールで勉強すれば未経験でもWeb制作の仕事に就けますよ!と言われて入校する人もいると思いますが、そんなに甘くはありません。)


八方塞がりになったので、派遣会社のメールキャリアカウンセリングで「女性SEは転勤・出産などでブランクが空くと、事務職にキャリアダウンせざるを得ないのか。復帰した例はないのか」と聞いてみると、「ほとんどの人は事務職になっている。でもそれは、考え方によってはキャリアダウンではないのでは?」という返答がきました。いえいえ、事務職寄りの仕事をして物足りないと感じたのだから、私にとってはキャリア(=やりがい)ダウンなんです。


派遣だけではなく、ハローワークや公的機関のHPなど、毎日10サイトほどチェックしていました。
同時に、CDAの通学講座の中で学んだ事を、自分をクライエントに見立てて自己分析してみました。

Webデザインは未経験。そもそも、(今は)デザインセンスに欠ける。
でも、htmlコーディングは実務経験があるし、長年趣味でやっていたから自信あり。

そこで、Webデザインではなく、コーディングメインの仕事に焦点を当てて検索開始。

顔合わせしてみたら、求人票に書かれていた以上にWebデザインスキルを求めていた、等もありましたが、
偶然、「コーディングをはじめ、あれこれやってくれる人を募集」している会社に巡りあい、採用となりました。【7社目・派遣】


現在、念願のWeb制作会社で働き、1999年からずっと趣味でやってきたHP作成を仕事としてやっています。
趣味と仕事は大違いということも、IT業界とWeb業界は大違いということもわかり、また、「やっぱり私は開発現場が好きなんだ!」と実感している最中です。

途中で諦めなくて良かった!

CDAの勉強をしていなかったら、途中で諦めていたことでしょう。
そもそも、CDAの勉強をしようと思ったのは、転妻コンサルタントSuai活動を始めたから。
そう思うと、私の人生は「偶然」だらけですが、クルンボルツの「計画された偶然(プランド・ハプンスタンス)」なのかもしれません。


【記事作成:Miwa、編集:Miwa、最終更新日:2011/7/21】